「のへの ISSUE 2」発行しました

青森県南部と岩手県北部にまたがって広がる一戸から九戸までの戸(のへ)の地域。
このエリアのものづくりを取材し、地域の情報を合わせて発信することで、戸の人は他所の戸を知り、離れた地域の方には戸全体の情報発信をすることで、戸とつながる関係人口をつくる株式会社シュウヘンカ企画協力で、取材、執筆、編集、写真、デザイン、広告、事務まで全て髙坂真が一人で行う「のへの」、2021年11月にISSUE 2を発行しました。

特集1は、八戸の郷土玩具 八幡馬。
現在の作り手が、伝統的な鉈の一刀彫で製作する大久保直次郎さんと、機械製作で製作する株式会社八幡馬さん。
両者を取材しつつ、前段に歴史や概要をまとめました。
歴史概要は、主要な古い八幡馬の写真を多用し、わかりやすくまとめています。
二組の作り手は、それぞれの歴史や作り方工程の記録も行ったほか、「八幡馬のうた」の歌詞やレコードジャケットも許可を得て掲載しています。

特集2は、のへの日常を旅するとして一戸町を14ページにわたって独自にまとめました。
出版してから、一戸の方からは、一戸ってこんなに良い街だったんだ、などの声。
他所の戸の人からは、一戸知らなかった、行ってみたい、という声をいただいています。

他にも戸のマニアックな情報が掲載されています。
今回の号には、2018年にフリーペーパーで出した1号目の活版印刷・武内印刷特集 復刻版が付録でついてきます。
是非お買い求めください。損はさせません。
取扱店一覧はこちら
 ネットでもご購入できます。)

のへの ISSUE 2
定価1,200円(税込)
B5変形サイズ、72ページ、全ページカラー

目次
特集1 八幡馬
馬産地「戸」に伝わる八戸の郷土玩具 八幡馬
伝統的な鉈の一刀彫で製作する 大久保直次郎
八幡馬で八戸の観光と経済に貢献 株式会社八幡馬
まちにとけこむ八幡馬
取材を終えて

のへの逸品 雑穀かりん糖/相馬屋 二戸市

特集2 のへの日常を旅する 一戸町

Discover NOHENO 野辺地町立歴史民俗資料館

のへのふうけい 郷土芸能 えんぶり

あなたはなぜ、ここにいるのですか? 大原圭太郎/本吉勝也/梅内道子

八幡馬取材日記

ISSUE 2「八幡馬」号のための下調べをしています。

現在、八幡馬を製造しているのは大久保直次郎さんと株式会社八幡馬さん。株式会社八幡馬さんの方は、会社として従業員の方が機械等を用いて製造しています。一方の直次郎さんは、鉈の一刀彫で伝統的な八幡馬を作り続けているので、どうしても比べられてしまうと思います。僕も、株式会社八幡馬さんの方は正直わからないことが多いと思ってました。今回八幡馬で1冊作るにあたり、やっぱり両者を伝えなければいけないと思い、株式会社八幡馬の高橋社長にお話しを伺ってきました。

私、Uターンしてから地元のことを時々調べていて、1973年の新聞記事を以前図書館で見つけていたんです。「八幡馬作りの名人 福沢章雄さん(88)」。株式会社八幡馬の前進、八幡馬製造 合資会社の初代社長をされた方で、株式会社八幡馬さんが現在作る八幡馬の元になるデザインを作られた方です。記事は、土産物としての八幡馬を開発したとありましたが、記事を見つけた時は正直心に響かなかったんです。でも、今回あらためて資料を調べたり、福沢さんを切り口に高橋社長にお話しを伺ったら面白かった。

株式会社八幡馬さんは、八戸のために八幡馬を土産物にしようと、直次郎さんのような職人ではなく労働者が作れるデザインにして、機械化を取り入れて手頃に手に取れる価格にして、そして八幡馬を一番PRしてきました。現在の八幡馬の知名度貢献に、おそらく一番尽力されている。八幡馬の胸の模様に八戸にまつわるウミネコや菊の花などを描くことも、八戸市民には盆踊りの歌でお馴染みの「八幡馬のうた」の制作も、八幡馬の子どもたちへの絵付け体験・八幡馬の紹介も、八戸の観光と経済のため。戦後再スタートした時は、戦争で旦那さんを亡くした女性の収入をつくるという、社会貢献もされてきました。

直次郎さんが作る民藝としての八幡馬とは少し違うかもしれません。でも、地域に貢献しようと尽力されてきた会社であることを伝えることで、これまでと違う新たな価値を「のへの」で伝えたい、八幡馬を後世に残したいと尽力されていることを伝えたい、そう思いました。

ISSUE 2 制作開始します

ISSUE 1を発行したのが2018年6月。あれから2年。
ISSUE 2では、八戸の郷土玩具八幡馬を取り上げようと、鉈の一刀彫で伝統的な八幡馬を作り続けている大久保直次郎さんに昨秋挨拶しに行ったんですが、冬季は寒くて身体に堪えるから、来年3月半ば以降に来てと。
さてこれから、と思う前にコロナがやばくなってきて、行くに行けませんでした。
でも「たぶん作り手はコロナ後のその時のために、今は淡々と作ってると思うよ」ということばを小久慈焼さんに行った時に聞いて、直次郎さんのところに思い切って連絡してみました。
が、電話してもなかなか通じないので、さてはと直接伺ったら、コロナでも変わらず農作業をしていました。

ということでISSUE 2、ゆっくり動き始めました。

直次郎さんは、八幡馬の伝統的な作り手としてはたくさん紹介されています。
でも、そもそも八幡馬は農閑期の副業として作られたもので、直次郎さんは現役の農家でもあります。
コロナの前からも、持続可能な暮らしを実践しようとする人は増えてきていると思いますが、直次郎さんはそれをずっとやられてきた方。
「のへの」では、直次郎さんのそういう半農半Xとしての側面も少しでもお伝えできたらと思っています。

お話しを伺うと、野菜だけではなく花も育て、そして来週には田植えもするのだそうですよ。